選挙権を得て以来、国政選挙をはじめ首長選挙、地方議会選挙には必ず投票に行っていることは私の密かな誇りである。
とりわけ国政選挙においては、積極的な支持をしているわけでもないし、ましてや党員でもないのだが、どちらかといえば消極的な選択として私は選挙区においては自民党の公認候補者、比例においては自民党または自民党公認候補者の名前を記名して投票してきた。その理由はこれまでにも述べてきたとおりである。すなわち、今の生活の根底にあるのは「日本」という国家が国際社会の中で極めて明確に独立国家であることに立脚しているからこそ存立している事実があって、そのために国際社会の中で我が国のポジションを他国との密接な関係に基づいて確立しているからこそ成り立っているものであると自覚している政党はどこかと問うた時、長年に渡る政権維持能力、政党内の多種多様な意見を集約できる意思決定能力、自主独立を根源にした改憲と外交防衛政策を掲げる自民党しか選択の余地がないと考えてきたからに他ならない。
だが、タカ派とされてきた安倍晋三元首相ですら改憲は成し得なかった。そして先の自民党総裁選において、安倍先生の意志を継ぐに相応しい高市早苗候補を自民党は選出しなかった。私の中で潮目は完全に変わったと感じた。そして、どこかで、もう、諦めてしまった自分がいる。
そもそも、先の大戦における敗戦で國體は維持できたのか。戦後すっかり変容した風土風俗、生活様式、民衆文化、ありとあらゆるものが本来我が国にあった「保守本流」とは明らかに決別し、全く別の「日本国」がいま厳然と存在している事実に、果たして九段の英霊たちはこれを認めて下さるというのか。もうずっと考えてきたけれども、それは今を生きる私達の考えるべきこと、そして判断すべきものだと悟ってからは、プツンっと糸が切れてしまったかのように、私の中でその価値が変容していることに気付いたのである。
就職氷河期と呼ばれた時代があった。私はその時代区分の末期あたりに該当する年代だ。私を含め、同窓生の多くは正社員として就職できた者の数のほうが少なかった。主席で卒業した友人は地方の小さな信用金庫へ就職した。主席でも信金しか就職できない時代だった。正社員として雇われてもアルバイトやパート従業員と仕事内容が変わらない業務に多くの者達が短期間で離職した。私は遂に未来を描くことができず、止む無く家業手伝いという形となった。
同窓生たちはいま、何をしているのだろうか。とりあえず生きているらしいが、華やかな職種に就けた者の話は一切聞かない。命を絶った者もいるという。
余談だが、私は親友を自死で失っている。小・中学校と同級生で、中学は同じ演劇部でともに多くの時間を過ごし、工業高校の普通科に進み、そして限られた高卒枠であのトヨタ自動車に入社。無料で住むことができる社員寮で生活を始め、さらには技術部に配属され、充実した日々を過ごしていくはずだった。しかしどうして、根っからの優しい性格と社内の風土が適合しなかったのか、今となっては定かではないが、精神を蝕まれ、数ヶ月の療養の末、彼はある年の5月の連休中に実家で多量の睡眠薬を飲んで自ら命を絶った。
私は自身が生きてきた時代を決して不幸だとは思わない。そういう時代だったのだ。仕方ない。そしてこの先も、私達の世代はきっと見捨てられる存在となる。現に、今回の選挙で「若者」として政策のスポットが当てられている世代は私よりも若い世代である。既に政治家からも社会からも見放されている。そういう世代なのだ。 だからこそ、私は私よりも若い世代の方々が苦しむような未来はあってはならないと思う。なんなら「お前たちの世代は若い人たちのために苦しんで死ね」と言われるほうが清々するぐらいだ。もちろん、それは「上がりを決め込んだオッサンオバサンたち」を巻き込む形でなくては困る。私達を見捨てた大人たちだ。ともに心中して頂かなければならない。
話を戻そう。
私の住む選挙区から、名古屋のTV・ラジオ局であるCBCの元女性アナウンサーが国民民主党公認候補として立候補している。テレビではニュースキャスターを長年務め、またラジオでは耳心地の良い声でざっくばらんなトークからマニアックな選曲まで楽しませてくれたアナウンサーだった。彼女が政治の道を志したのは数年前。首長選挙などにも挑戦してきたが落選。かつて私の選挙区では旧民主党の議員がトヨタ労組系列の組織票で常に議席を得ていたが、旧民主党の分裂で組織票が空中分解したのちは自民党議員が押さえてきた。そこへ今回、彼女が国民民主党の公認候補者として立候補した。労組票の行方が曖昧な中での選挙戦となっている。
私はこれまで消極的選択として自民党に投票してきた。だが今回の選挙、私は初めて自身の投票行動に変化を試みようとしている。正直言って、国民民主党という政党は好きじゃない。中身をよくよくみれば、立憲民主党みたいな議員が混じっている。悪夢のような旧民主党政権時代の再来は断じてあってはならない。けれども、政党代表が論じる政策には共感を覚える点が多い。しかも外交防衛政策は保守的な考えを主軸としている。さらには若者に向けた政策を多く発表している点も見過ごせない。「手取りを増やす」。このスローガンに勇気と希望を貰った。実は過日、地元に玉木代表が来た際、直接お話する機会があったので、感謝の思いをお伝えした。思った以上の手応えがあり、必ず政策として実現したいとの言葉を頂いた。
ここまで申し上げれば、今回の選挙における私の投票行動についての説明はご理解頂けるものと思う。そこまで積極的ではないことも分かって頂けたと思う。ただこれだけははっきりと申し上げたい。客観的事実や明確なデータを捻じ曲げ、あるいは曲解し、またイデオロギーを織り交ぜながら、さらにはカルト狂信的に喧伝し、人心を惑わせ、社会を非道徳的または非科学的な方向へと扇動する一部の政党あるいは自称政治家に騙されることのない精神と知識を、私を含め有権者はしっかりと持たねばならないと思う。
全体的な見方として、自公連立が過半数割れしたとき、どこの政党がキャスティングボードを握るのか。これはこれで面白い。もちろん自民党内の内紛も面白い。首相首班指名でどうなるのか。結果が出てのお楽しみだ。
最後に。選挙が直接、私達の生活改善に繋がることはない。けれども「投票する」という行為が自分自身や社会に対して前向きな作用をもたらすことは十分にある。特に若い人々の投票行動が選挙に与える影響は先の東京都知事選における、無名候補者の年齢別得票数をみれば明らかであろう。若い人たちの力で老害を駆逐しろ!進め!進め!
では、明日の20時。日本にとって希望的な結果となることを祈ります。
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