20231231所感

わが祖国、日本はその歴史を振り返ってみても常に、海の向こうからやってくる対外的なパワーによって、その都度、そのときの偉人たちの巧妙な知恵と絶妙な采配によって国難を乗り越え、またその力を取り込み、深く理解して、適応させ、さらなる成長へと結び付けていった。この素晴らしき作法は国運のみならず、ひいては自身にをも当てはめて、その見習うところは見習うべきものと考える。


さて、今年も残すはあと一日となった。私自身の日々の生活、仕事においても、別段変化した事柄もなく、朝、目が覚めて、Twitter(現X)のタイムラインを追う、出かける、仕事する、TL眺める、仕事する、昼ごはん食べる、TL眺める、仕事する、TL眺める、仕事する、TL眺める、帰宅する、TL眺める、入浴する、TL眺める、シコる、寝る。相変わらずの廃人生活スタイルであった。

週に一日、唯一の休日である日曜日は、そのほとんどを買い物と映画館で過ごしていた。今年は例年に比べてたくさんの映画を劇場で観たように思う。映画館は作品に没入できるのが良い。自宅で映画でもアニメでも、映像作品を観ていても、どこか集中できず、作品がしっかりと頭に入ってこない。対して劇場はその暗闇の中、一度上映が始まれば止まることのないストーリー、懸命に集中して鑑賞しなければならない状況下、大画面かつ大音量の迫力が映像体験として記憶に定着して、作品の味わいをより深いものにしてくれる。

昨年11月に上映公開された、新海誠監督最新作『すずめの戸締まり』。御存知の通り、私は新海監督の大ファンだ。最終的に、9月のおかえり上映を含めると、全部で10回、劇場で鑑賞した。そういえば、まだちゃんとした感想を書いていなかった。いずれまた書こう。すずめは、現代を生きるすべての人々に共通して存在する「大事なもの」を丁寧に、そして大胆に描いた作品だった。それに気づかせてくれる作品だった。いつも近くにあって、けどそれは当たり前過ぎて、その尊さに気付けなくて、一瞬一瞬に全てを預けてしまいがちになる世俗的な生き方の中にあって、ほんの少しでもいいから、立ち止まり、見渡して、感じ考えること、その重要性に気づかせてもらえた。「大事なもの」は人によって異なる。けれど、そのものの尊さ、儚さ、抱える想いは同じだ。それを確認したかったから、10回も観に行ったのかもしれない。本当に素晴らしい作品だった。

今年公開され、観に行った作品はどれも素晴らしかった。敢えて取り上げて述べるならば、アニメーション作品である『BLUE GIANT』だ。あれほどの強い信念を持った主人公に出会えたのはいつぶりだろう。「俺は世界一のジャズプレイヤーになる!」ブレることなく突き進む主人公の生き様。そんな彼に触発され、その生き方をも変化していく仲間たち。各々が悩み苦しみながら成長するストーリー展開。映像としては途端にチープな表現となったが、それを押し退けるように迫ってくる圧倒的な演奏音響。劇場で全身にジャズを浴びて、自然と身体が揺れていた。あの感動は劇場でないと体感できないなと思うぐらい凄かった。痺れたなぁ。

ほかの作品、思いつく限り述べると、『Winny』の東出昌大さんの演技は素晴らしかったなぁ。『水は海に向かって流れる』の広瀬すずさんの大人になったフリをしている大人のお姉さんの雰囲気がすごく良かった。『君たちはどう生きるか』は賛否両論あろうが、私は好意的に受け止めた。まだ劇場公開中だ。『シン・仮面ライダー』も『ゴジラ-1.0』も過去作品へのリスペクトがひしひしと伝わってくる素晴らしい作品だった。尽きないのでこのあたりで。

映画たくさん観たけど、TVアニメはほとんど観ることなく今年が終わりそうだ。正直なところ、何観たかな、なにやってたかな、という感想に終止しそうなので、触れないでおこう。

ところで今年は「自分はオタクだな」と気付いてから25年の節目の年でもあった。まぁ、その生き方云々には特に言及しないけど、来るところまで来たな、なんて自分で口にして吹き出しそうになるぐらい、生きながらえてしまった感がある。当時と比較して、オタクという言葉の持つニュアンス、捉え方、イメージは大きく変化した。オタクという存在が一般化しすぎて、またそのジャンルが際限なく拡大して深化している。何かに特化して趣味として興じることへの抵抗感はすっかり消え去って、むしろそれをオープンにすることがステータスになっているとさえ感じる。良い世の中になったな、と素直に思う。

だからなのか、それとも慣れが生じてしまったのか、私自身も気構えすることなく、それが承認欲求か否か客観的に判断しかねるが、ソーシャルメディアを通じて自身の内面にある思いを少しずつでも吐露できるようになってきたのかな、もちろん、節度を持って行っていくことは大事であることは言うまでもないが、発信する姿勢について考えた一年でもあった。


2023年を振り返るにあたり、私の中で一大トピックとして取り上げなくてはならないのは、やはり同人声優の『夏目ミカコさん』との出会いであろう。

ここ最近、趣味の時間に占める音声作品のウエイトが大きくなり始めたのはきっと、ノイズキャンセリング機能を搭載したイヤホンを使用し始めて、雑作業中でも気軽に音声作品を鑑賞できる機会が増加したことが起因と思われる。2021年頃から音声作品を楽しむ機会が増え、同人声優さんへの興味関心も大きくなっていた。アニメやエロゲよりも音声作品を鑑賞している時間が長くなっていった、そんな2022年の暮れ頃だったと思う。私のTwitterアカウントがミカコさんにフォローされた。当時の記憶が定かではないが、やっと2桁のフォロワーを得たぐらいの、プロフィールにある通り、まさに「新人同人声優さん」だった。アナウンススクールに通っていた経験があり、別名義でナレーションを中心とした声のお仕事の実績があり、普段はOLのお仕事をしながら、副業として声のお仕事をしている結婚4年目の人妻さん。サンプルボイスを聴いて、あぁ確かにアナウンサーっぽい落ち着いた声、少しだけパサつきのある、けれども中低音が耳心地良い響きのある、大人な雰囲気を感じる声だと感じたいちばん最初の印象はよく覚えている。せっかくこんな変態アカウントを(たぶん勇気を出して)フォローして下さったんだ、フォローバックしよう。これがミカコさんとの最初の出会いだった。過日、配信でミカコさんが私をフォローした経緯が語られている。

「ゲスい話、フォロワー集めの段階のときに、この人面白そうwとか、この人なら私のこと好きにすきになってくれるかなーって」 

「Twitterしたことなくて、作法知らなくて、とりあえずフォローしちゃえ!みたいな感じでフォローした」

ミカコさんのこの衝動がなければ、私は大晦日、こうしてこの一年を振り返ることはなかった。いま振り返っても感謝しかない。

その後、ミカコさんは半年のあいだに6作品の「オナニー実演作品」に出演される。普段は本業のお仕事にお勤めしながら、家庭に帰れば旦那さまとの生活があって、過去に多くの殿方との恋愛経験が豊富で、エッチなことが大好きで、声を使って表現する場所を求め、この同人声優界隈にやってきたミカコさんが、マイクの前で大好きなディルドを使ってオナニーする様子を収録した作品が発売され、それが実際に売れていくという事実。配信でも語っておられるが、「まさか私がオナニーしてるだけの声を収録した作品が売れるだなんて」という戸惑いがあったそうだ。

ミカコさんのいわゆる実演作品で特筆すべきは作品冒頭の自己紹介の場面である。リスナーによっては捉え方は多様であると思うが、自身がこういう者であるという、過去の男性経験を語りながら吐露していくシーンであったり、いまどこにいて、どういうものを身に着け、どんなおもちゃを使っていくか。非常に丁寧で委細な説明が想像を掻き立てていく。そうした一言ひとことが極めて刺激的で、私の中で「エッチなお姉さん」像が確立していった。合わせて、4月頃には、クリエイターとファンのあいだを結ぶ、支援プラットフォーム『Ci-en』での活動を始められ、もうその頃には、すっかりミカコさんの魅力に取り憑かれ始めていたので、フォローはもちろん、有料プランへの入会も躊躇は一切なかった。

音声作品のなかでジャンルとして広域に認知されているものではないので「いわゆる」という連体詞を付けざるを得ないが、この「いわゆる実演系作品」について、それを演じている者を「声優」としてその範疇に留めて良いか否か、という論争があることは承知している。論じるにあたって、これだけは申し上げておきたいのは、脚本に書かれたセリフをその通りに発声して演じることがだけが声優の仕事であるという認識はあまりに浅はかであると訴えるとともに、自身の内面から込み上げてきたものを音声として発し、これを作品として発表することも当然ながら声優の仕事であると捉えなければ、今や声優という職業がTVアニメのキャラクターボイスや外画の吹き替え、ナレーションなどに留まらず、あらゆるメディアに登場し、声の仕事という枠組みすら飛び越え、多岐にわたる活躍をされる声優さんが存在することを加味しても、一方的に「実演系作品」に出演する者を「それは声優ではない」と処断するのはあまりに無知蒙昧であると言わざるを得ない。訊いているか!某よ!!恥を知れ!!!

とまぁ、余談はこのあたりにして。作品を通じて知る「夏目ミカコ」像が、有料会員限定の配信であったり、『OTOBANANA』での配信などを通じて、その解像度が増していく感じは応援していて嬉しかったし、Ci-enに投稿されていくシチュエーションボイスやエッチな経験を語る「音の日記」、ナレーション経験を生かした朗読は、日々の疲労をふわっと和らげてくれた。

夏ぐらいからは、発売される出演作品が増え始めた。同人声優さんにとって、獲得したファンとの交流は大切にしたほうが良いと感じる一方、ファンとして、どうすれば多くの人に「夏目ミカコさん」を知ってもらうことができるのか、Twitterのフォロワー数400人に達し、次は500人に向けての頃だったか、作品を販売するプラットフォームである『DLsite』の作品ページにある「レビュー」という投稿の存在の大きさに私はようやく気付き始めた。そして、ミカコさんによる「レビュー返し配信」が程なくして始まった。

ミカコさんを推しているファンの方とTwitterでやり取りした内容でもあるが、レビューとは要するに作品を聴いたあとの感想であって、感想文を書くからには「作品に携わったクリエイターさんや声優さんに感謝の思いを届けたい」という気持ちがまずもって大切である。と同時に私は、まだ作品を購入されていない方に「こういう作品ですよ」「ここが聞き所ですよ」みたいなものを言葉にして伝えることができるチャンスの場だと捉えた。それが作品を制作したサークルさんであったり、出演されたミカコさんの後方支援になるのならば、それなりにちゃんと書こう、そんな思いを懐きながら、それ以後、ミカコさんが出演される作品には必ずレビューを書いていった。

そうして投稿した私のレビューがミカコさんの「レビュー返し配信」の折に読み上げられるようになった。私自身、とにかく上記に付した事柄を多くの人たちに伝えたい、その一心で不器用ながらも必死で書いたレビューだった。独りよがりになっていた文章だと思う。振り返ってみても恥ずかしくなるような思いはある。けれど、レビュー返し配信を重ねるごとに、他の方が書かれた素晴らしいレビューを聴きながら、私の中でも少しずつ書き方を改善をするようにしていった。

ついには直近のレビュー返し配信において、「言葉選びが凄い」「描写が細かい」「官能小説書けるでしょ?」といった言葉をミカコさんからも、ツイキャス配信に参加されたファンの方からも頂いた。これがきっかけだった。Twitterへの投稿で不思議に感じておられたフォロワーさまもいらっしゃると思うが、配信直後から官能小説の構想を始め、3日ぐらいかけて短いプロットを書いて、本当なら12月23日のミカコさんのデビュー1周年記念配信に間に合わせるつもりだったが、仕事もあるなか、想定していた以上に文字数が増大する見込みとなって、M-1グランプリも明石家サンタも観ることなく、最終的に25日のツイキャス配信の2時間前に未熟な推敲のままであったが、ミカコさんにこれを提出、後刻受理された。

私の処女作となったこの作品、もしかしたら、何らかの形で世に発表されるかもしれない。とりあえず今述べられることはそれだけだ。ミカコさんへの感謝の意を捧げるべくして懸命になって書いた訳だが、果たして、1年前のミカコさんとの出会いの場面から、私がこのように衝き動かされることを誰が想像できただろうか。私自身も、まさか原稿用紙換算33枚の、短編小説には少し満たない分量だが、これだけの文章を1週間で書けるとは思っていなかったし、その評価の如何は未だ分からないけれど、とりあえず作品という形を仕上げたことに驚いているし、まだまだ書きたい衝動が心のなかで燻っている。

初めて吐露するが、中学生の頃から何かしらの文章をちゃんとした作品として書き上げたい野望はあった。なんとなく、それっぽい文章を書いたことはあったけど、未熟な語彙力、表現力の前に自ずと圧潰して、中途半端に投げ出して、それ以後、日記やこのブログ、学校へ提出する小論文以外で、誰かの目に触れるかもしれない文章を書き上げたことは無かった。けれども、そうした過去を一掃し、私に小説を書かせる衝動を与えて下さった、私に変化をもたらして下さったミカコさん、同志ミカコキストの皆さんには本当に感謝申し上げたい。


ある側面から捉えれば極めて平凡で、またある側面から捉えれば極めて濃密だったこの一年。ほんの些細な出来事が、やがて大きなうねりとなって打ち寄せ、自身の有り様をも変化させる。そんなことを実感した一年だった。そして、このことが、もしかしたら、自分自身に大きな変革をもたらすきっかけとなるのかもしれない、そんな予感すら覚える。しかしてそれは、すべて自分自身が強い意思をもってはじめて成し遂げられるものであって、敢えて言葉にしなくても、まずやってみること、それを身を以て教えて下さった方が目の前にいるのだから、もうあとは無我夢中でやるしかないんだ、そういう結論に達しているからこそ、本当にやり遂げねばならない思いに満ちている。

今年も無事に年越しできることに感謝したい。そして、来たる新年は、苦難の向こうに見える何かをしっかり見据え、一歩一歩着実に前進したい。たぶん、これは凄いチャンスなのだと思っている。いまやるしかない、そう強く思っている。やってやろう。頑張ろう。


最後まで読んで頂きありがとうございました。読んで頂いたのはTwitterのフォロワーさまがほとんどだと思います。今年も絡んでいただいて本当にありがとうございました。来年も引き続き、この変態アカウントにかまっていただきますようお願い申し上げます。

どうぞ良いお年をお迎え下さい。

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高橋キノエネのーと

Twitterの限られた文字数では伝えきれないこと、言いたいことを気ままに述べていく個人ブログです。